プロトワークが試作業をはじめて、20年が経ちました。
3人でスタートをした会社も今では30名。
多くの試作会社がある中でも様々なお客様にお声を掛けて頂けることに感謝をしながら、
樹脂加工から金属加工、5軸加工とご期待にお応え出来るような体制を整え
真剣に向かい合ってきた20年だったと思います。
『試作』という仕事は、これから生まれる製品のはじめの一歩にあたります。
世界に発信される製品開発のスタートラインにあるのが試作なのです。
この一歩をいかにスムーズに踏み出せるのかが自分たち試作業の役割であると考えています。
いかに早くこの一歩を踏み出すかが、製品が世界に生まれる早さにも直結します。
その中で、抱えていた違和感もありました。
それは「土日祝日」などの休日に生産が止まってしまう業界の体制でした。
早く・確実に製品開発をスタートさせる役割を持っている自分たちが
世間と同じように休んでいて良いのだろうか? という疑問があったのです。
開発が早く進めば、今お客様にご依頼されているこの製品が早く世界に生まれることが出来る。
これらの製品が早く生まれれば、今よりももっと便利になる。
それなら、より早く開発を進められるような体制をつくることが
自分たちの使命ではないかと考えたのです。
良いものには時間がかかります。
ですが逆に、時間をかけさえすれば良いものは出来上がるのです。
では、良いものを、早く届けるにはどうしたら良いのだろう?
一度に、かんたんに、すぐに両立出来るような魔法はありません。
では何が「良いもの」と「早く」を両立させられるのかと言えば、本当に細かな改善活動の積み重ねでした。
例えば独自のウェブシステムで生産体制の見える化を行い
機械のわずかな空き時間を把握し、人に依存しない情報共有が出来るようにしたこと。
例えば開発内容に合わせて、最適な機械を選ぶこと。
さらには機械の得意と人の得意に目を向けた「適材適所」を徹底して行ったこと。
逆に時間がかかるように見える細かな調整のひとつひとつを
丁寧に積み重ねていくことが、時間の短縮につながっていきました。
工程を変えるとミスが増えるのではないか。
余計な時間がかかるのではないか。
専門機の種類を揃えるためには設備投資もしなければならない。
一見すれば、みんな嫌がることばかりです。
ですがプロトワークは、20年の経験から少しずつ気付いていたのです。
この試作にはこの機械が一番良い、ということや、
あの試作にはこういうノウハウを持つスタッフが一番良い、ということ。
そしてそれが、一番お客様に喜んで頂けることであり、
「試作」という仕事に携わる私たちの一番大切な使命であること。
人の力だけではなく、機械の力だけでもなく、
知恵と機械を少しずつ組み合わせてはじめて出来上がる体制です。
1+1を繰り返し、コツコツ積み重ねたことが
一番確実に早く出来上がるというのは試作業の奥深さであるとも思います。
加工の幅があることも、高難易度の加工が出来ることも技術です。
私たちはその技術力のひとつに「スピードアップ」を提唱したい。
もしかしたら、これこそが本当の技術力なのではないかとも考えています。
何故なら、スピードを上げるには必ず、知恵と経験が必要だからです。
機械の技術進歩で複雑な加工の難易度も昔ほどでは無くなってきました。
先にもあげたとおり、時間さえかければ良いものを作ることは出来るのです。
その上で、ではこれらをいかに早く・安定してお客様の手元まで届けることが出来るのかが
今後さらに求められる技術力であるとプロトワークは考えています。
ひとつの機械があれば出来ることではありません。
卓越した技術や知識を持った人がいるだけでも出来ることでもありません。
変化し続ける技術や時代の中で、
新しい取り組みや機械、技術を常に取り入れ続けること、
さらにそこに人にしか持ち得ない経験と知識が入ること。
すべてが整って、はじめて最高のものが出来上がります。
今、良いものは当たり前の時代となりました。
我々がプロとして、良いものを提供するのはもう当たり前なのです。
本当のプロは、それらを早く提供をしていけることではないでしょうか。
プロトワークがこれまでずっと取り組みとして行ってきたものの集大成がスピード試作です。
そしてプロトワークだから、という事ではなく、
「スピード試作」「良いものを早く提供すること」が
試作のあり方として標準になればと願っています。
お読み頂きありがとうございました。
私たちの取り組みが皆様の開発の手助けになれるよう、
これからも追求を続けて参ります。
代表取締役 田村 常之進